赤ちゃんの癇癪はなぜ起きる?0-2歳児が怒る原因と接し方

2026.09.07 ⏱ 9min
赤ちゃんの癇癪はなぜ起きる?0-2歳児が怒る原因と接し方

さっきまで機嫌よく遊んでいたのに、突然火がついたように泣き叫ぶ――そんな経験はありませんか?

「他の赤ちゃんはもっとおとなしいのに…」「私の育て方が悪いのかな?」と悩んでいるママパパは、実はとても多いんです。

僕自身も、長女が2歳くらいの頃に、チャイルドシートに乗るのを極度に嫌がる時期がありました。出かけようとして乗せにかかると激しい癇癪を起こして泣き叫び、妻と二人がかりで1時間ほど格闘したこともあります。なんとか落ち着いて出発するころには、こちらのほうがぐったりしていました。

でも、安心してください。赤ちゃんの癇癪は決してあなたの育て方が悪いからではありません。それは一般的な発達過程でみられる正常な反応なんです。

今回は、発達心理学の観点から0-2歳の赤ちゃんがなぜ「すぐ怒る」のか、その科学的根拠と実践的な接し方をご紹介します。

赤ちゃんが癇癪を起こす理由とは?

赤ちゃんの脳では、感情を司る「大脳辺縁系」は発達しているのに、理性の「前頭前野」はまだ未熟です。このアンバランスが癇癪の正体。発達過程で一般的にみられる正常な反応であり、あなたの育て方のせいではありません。


目次

なぜ赤ちゃんは癇癪を起こすの?脳科学が教える成長のサイン

なぜ赤ちゃんは癇癪を起こすの?脳科学が教える成長のサイン
オコリン

博士!怒るの研究所にお悩み相談が届きました!えーと、なになに……「うちの赤ちゃん、本当によく癇癪を起こすんです。これって普通なんでしょうか?」だそうです!

博士

なるほどのぅ。心配になるのも無理はない。じゃが実は、癇癪は赤ちゃんの脳が順調に発達しておる証拠なんじゃよ。

赤ちゃんの癇癪には、脳科学的にちゃんとした理由があります。

脳の発達のアンバランスが原因

感情のアクセルは急発達、理性のブレーキはまだ未熟

赤ちゃんの脳では、感情を司る「大脳辺縁系」が急速に発達する一方で、理性をコントロールする「前頭前野」の発達が追いついていません。

つまり、感情を強く感じる能力はあるのに、それをコントロールする能力がまだ未熟な状態なんです。これは正常な発達過程で、一般的にみられる反応です。

3つの発達的理由

1. 自己調整能力(セルフ・レギュレーション)の学習中
癇癪を通じて、赤ちゃんは自分の感情をコントロールする方法を学んでいます。

2. 自我の芽生えと自立心の発達
「自分の思い通りにしたい」という気持ちは、健康な自立心の表れです。

3. 言語能力の未熟さによる代替コミュニケーション
まだ言葉で表現できない赤ちゃんにとって、癇癪は重要なコミュニケーション手段なんです。

月齢別「癇癪」の発達的意味

0-6ヶ月:生理的欲求の表現期
お腹が空いた、眠い、不快感など、生存に必要な基本的欲求を訴えている時期。これは生き抜くための大切な能力です。

7-12ヶ月:探索欲求の芽生え期
「あれを触りたい」「もっと自由に動きたい」という探求心が芽生える時期。好奇心の発達の証拠です。

1歳半〜2歳:自我確立への挑戦期
「自分でやりたい」という自立への強い欲求が現れる時期。18か月前後から自己認識や自己主張が目立ち始めるとされ、人格形成の重要なステップです。

博士

つまり、赤ちゃんの癇癪は「順調に成長している」サインなんじゃ。喜ぶべき発達の証拠じゃよ。


年齢別・科学的根拠に基づいた対応法

年齢別・科学的根拠に基づいた対応法

【0-6ヶ月】基本的欲求を満たす「5つのステップ」

この時期の癇癪は、ほとんどが生理的な不快感から来ています。

科学的チェックリスト

  1. 空腹チェック:最後の授乳から2-3時間経過していないか
  2. 排泄チェック:おむつの湿度や汚れを確認
  3. 睡眠チェック:月齢×1.5時間以上起きていないか(個人差があるため、あくまで一般的な目安)
  4. 体温チェック:室温20-25度、衣服の枚数は適切か
  5. 体調チェック:発熱、皮膚の異常、普段と違う泣き方はないか

効果的な「抱っこ療法」

  • 縦抱き:胃の圧迫を軽減し、げっぷを促進
  • C字抱き:胎内の姿勢を再現し、安心感を与える
  • リズミカルな揺れ:胎内での羊水の動きを模倣

【7-12ヶ月】探索欲求を満たす「環境調整法」

この時期は「安全に探検できる環境作り」が重要です。

安全な探索エリアの作り方

  • 手の届く範囲に安全でない物を置かない
  • 触っても良い物だけの「探索ボックス」を用意
  • 「ダメ」を言わなくて済む環境設計

「代替満足法」で欲求をリダイレクト

  • 本物のリモコン → おもちゃのリモコン
  • ティッシュ引き出し → 布のハンカチ束
  • 階段登り → 安全なクッション山

予防的コミュニケーション
「今からお外に行くよ」「あと5分で帰るよ」など、事前の声かけで心の準備をサポートします。

【1歳半〜2歳】自我を尊重する「選択肢法」

イヤイヤ期は「自分らしさを見つける大切な時期」です。

自己決定権を尊重する選択肢提示

  • 着替え:「赤い服と青い服、どっちにする?」
  • 食事:「スプーンとフォーク、どっちで食べる?」
  • 遊び:「積み木とボール、どっちで遊ぶ?」

感情の言語化サポート(実況中継法)

  • 「○○ちゃんは、自分でやりたかったんだね」
  • 「思い通りにならなくて、悔しいんだね」
  • 「そんな気持ちになるのは、当然だよ」

愛着形成を深める対応
親が冷静に子どもの気持ちを受け止めることで、「自分は愛されている」という安心感(愛着)が育まれます。

オコリン

なるほど!赤ちゃんの気持ちを言葉にしてあげることで、安心するんですね。

博士

そうじゃ。この時期の対応が、子どもの自己肯定感や情緒の安定につながるんじゃよ。


やってはいけないNG対応と理由

やってはいけないNG対応と理由

良い対処法を知ることと同じくらい、避けるべき対応を知ることも大切です。もし怒鳴ってしまった後の立て直し方は子供に怒鳴った後の罪悪感の消し方で扱いました。

避けたいNG対応

×大声で叱りつける
→ 恐怖心を煽り、さらに混乱させる可能性があります

×理由を問い詰める
→ まだ言語化できない子どもをさらに困らせてしまいます

×長時間の無視
→ 「見捨てられた」という不安を与える可能性があります
(※一時的なクールダウンは別です)

×スマホやお菓子で安易に気を逸らす
→ その場しのぎにはなりますが、根本的解決にならず要求がエスカレートする可能性があります

博士

ついやってしまいがちじゃが、これらの対応は避けた方が良いぞ。子どもの発達を考えると、長期的にはマイナスになることが多いんじゃ。


ママ・パパのメンタルケア:科学的根拠に基づく対策

ママ・パパのメンタルケア:科学的根拠に基づく対策

赤ちゃんの癇癪でイライラするのは、決して悪いことではありません。子育て中のイライラそのものの原因は子育て中のイライラ爆発|5大原因と今すぐできる5つの対策にまとめています。

イライラする科学的理由

  • 慢性的睡眠不足:前頭前野の機能低下により感情制御が困難に
  • 予測不可能なストレス:コルチゾール(ストレスホルモン)の慢性的分泌
  • 完璧主義的思考:理想と現実のギャップによる自己批判

実践的メンタルケア法

6秒ルール
アンガーマネジメントで広く活用されている実践的テクニック「6秒ルール」では、怒りのピークは約6秒とされています。この間、以下を実践:

  • 「1、2、3、4、5、6」とゆっくり数える
  • 「これは成長の証」と心の中で唱える
  • 深呼吸を3回行う

一時避難法(安全確保が前提)

  • トイレで2分間の深呼吸
  • ベランダで新鮮な空気を吸う
  • 冷たい水を飲んでクールダウン

ポジティブなセルフトーク例

  • 「私だけじゃない、みんな通る道」
  • 「この子もつらいんだよね」
  • 「完璧な親なんていない、今日も頑張った」
  • 「愛があるから心配になる」

相談できる場所を知っておこう

地域の相談先

  • 子育て世代包括支援センター(母子保健法第22条に基づく公的機関)
  • 保健センター(保健師相談)
  • 子育て支援センター
  • かかりつけの小児科医
  • 地域の子育て相談ホットライン

一人で抱え込まないことが、親子双方の健康につながります。

博士

自分を責めずに、科学的な方法で感情をコントロールする術を身につけることが大切じゃよ。


まとめ:癇癪は愛しい成長の証拠

赤ちゃんの癇癪は、決して問題行動ではありません。それは健康な脳の発達、自我の芽生え、愛着形成への重要なプロセスなのです。

今日から実践できること

  • 癇癪を「順調な発達のサイン」として受け止める
  • 月齢に応じた科学的根拠のある対応を心がける
  • 自分自身のメンタルケアも大切にする
  • 困ったときは専門家や地域のサポートを活用する

大切なポイント

  • 感情のアクセルは発達しても、ブレーキはまだ未熟(これが正常)
  • 自己調整能力は癇癪を通じて学んでいく
  • 親の冷静な対応が、子どもの愛着形成と情緒安定につながる

怒りとの付き合い方そのものを整えたい場合は、アンガーマネジメントとは?目的とやり方、学び方を解説も参考になります。

最も重要なことは、「完璧な親になろうとしない」ことです。

癇癪を通じて、赤ちゃんは感情のコントロール方法を学び、親は子育てスキルを向上させていきます。これは親子で一緒に成長する素晴らしいプロセスなんです。

あなたが愛情を持って向き合っていることを、赤ちゃんはきっと感じています。

博士

癇癪は愛情深く成長している証拠じゃ。科学的な知識を持って、自信を持って子育てに向き合ってほしいぞ。この時期はいつか過ぎ去る。今の愛情深い関わりが、将来の素晴らしい親子関係の土台になるんじゃよ。


参考文献

  • 厚生労働省「健やか親子21」 ― 乳幼児の発達と子育て支援に関する情報を包括的にまとめた国の施策ページ
  • 日本小児科学会 ― 子どもの心身の発達や育児に関する科学的知見を提供する学術団体の各種資料
  • 遠藤利彦(編)『赤ちゃんの発達とアタッチメント』(ミネルヴァ書房) ― 乳幼児期の愛着形成と情緒発達に関する専門書