「また上司のせいでミスをした」「親のせいでやる気が出ない」「会社のせいで人生が苦しい」――。
気がつくと、こんなふうに誰かや何かのせいにして、心の中でブツブツ怒っていることはないでしょうか。
実はその怒り、解消するヒントは「原因他人論」と「原因自分論」というたった2つの考え方を知ることで見えてきます。
この記事では、よく怒ってしまう人ほど知っておきたい、人生を好転させるための考え方をやさしく解説していきます。読み終わるころには、明日からのモヤモヤとの付き合い方がきっと変わっているはずです。
原因他人論・原因自分論とは?
起きた問題の原因を「他人や環境にある」と考えるのが原因他人論、「自分にもある」と考えるのが原因自分論です。よく怒る人ほど原因他人論に偏りやすく、正しい原因自分論に切り替えることで人間関係とストレスが大きく改善します。
はぁ……自分は全然悪くないのに、毎日怒ってばかりで疲れちゃったよ。なんでこんなにイライラするんだろう。
ほっほ、オコリンよ。ちょうどええタイミングじゃ。今日はその「自分は悪くないのに怒ってしまう」という気持ちのカラクリを解いていこうかのう。
カラクリ……?なんだか難しそう。
いやいや、知ってしまえばシンプルじゃよ。「原因他人論」と「原因自分論」というやつでのう。聞いたことはあるかの?
ぜんぜん聞いたことない!教えて、博士!
この記事を読むとわかること
- 原因他人論と原因自分論の違い
- よく怒る人が陥りがちな「負のスパイラル」の正体
- 「正しい」原因自分論と「間違った」原因自分論の見分け方
- 今日からできる、客観的に自分を見るための具体ステップ
原因他人論とは?――「悪いのはあいつ」という考え方
原因他人論とは、自分が抱えている問題や不満の原因を、他人や周りの環境にあると考える捉え方のことです。
たとえば、こんな口グセがある人は要注意かもしれません。
- 仕事でミスをしたのは、上司の指示がわかりにくかったからだ
- 勉強する気が起きないのは、親がうるさく言うからだ
- こんなに苦しい生活なのは、国の政治が悪いからだ
一見すると「気持ちはわかるなあ」と思える主張ばかりですよね。実際、原因他人論はとても気が楽です。だって、自分は何もしなくていいのですから。
ですが、ここに大きな落とし穴があります。原因他人論を要約するとこうなります。
周りが悪い、自分は悪くない=物事が良くなるためには、周りが変わるべきだ
つまり、状況を変えるカギを「自分以外の誰か」に預けてしまっている状態。当然、自分を客観的に見つめる機会もなくなり、改善にも自己成長にもつながりにくくなってしまうのです。
原因自分論とは?――「自分にもできることがある」という考え方
一方の原因自分論は、問題や不満の原因を自分自身にも求めてみる考え方です。
たとえば、仕事のミスをこんなふうに捉え直してみるイメージです。
「上司の指示がわかりにくかったのも事実かもしれない。でも、わからなかった時点でちゃんと聞き返せばよかったな。次は必ず確認しよう」
こう考えると、自分の足りない部分が見えてきます。見えてきた弱点は、本を読んだり、人に聞いたり、行動を変えたりして補うことができます。一つひとつは小さな変化でも、積み重ねていくうちに、人生の景色は驚くほど変わっていきます。
「怒る」とは何か、その本質や原因をもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてどうぞ。
よく怒る人ほど「原因他人論」にハマりやすい
ここからが本題です。実は、よく怒ってしまう人ほど原因他人論に偏っている傾向があります。
問題が起きるたびに「あいつのせいだ」「環境が悪い」と感じるので、当然、怒りや不満が前面に出やすくなります。そしてその怒りは、本人も気づかないうちに、こんな負のスパイラルを作り出してしまうのです。
あいつが悪い → 不満が募る → 周りに当たる → 信用を失う → 孤立する → 物事がうまくいかない → さらにイライラする → またあいつのせいにする……
うわぁ……これ、まさに今のぼくじゃん。
気づけたのは大きな一歩じゃよ。気づけない人は一生このループの中におるからのう。
でも、どうやったら抜け出せるの?「客観的に自分を見ましょう」って言われても、正直よくわからないよ。
よし、ではここで具体的な方法を授けようかの。
客観的に自分を見るための3つの具体ステップ
「客観視しましょう」と言われても、頭の中だけではなかなか難しいものです。そこで、誰でも今日から試せる具体的なやり方を紹介します。
ステップ1:イラッとしたことを紙に書き出す
スマホのメモでも構いません。「何が起きたか」「誰に対して、どう感じたか」をそのまま書きます。
頭の中でグルグル回っている怒りは、文字にした瞬間に半分くらいの大きさに縮みます。これだけでも効果は十分にあります。
ステップ2:少し時間を置いてから読み返す
理想は数時間後、できれば翌日。書いた直後ではなく、少し冷えた頭で読み返すのがポイントです。
「あれ、自分も少し言い方がきつかったかも」「相手にも事情があったのかな」と、不思議と新しい視点が出てくるはずです。
ステップ3:「友達が同じ目に遭っていたら?」と問いかける
これが一番強力かもしれません。同じ出来事を、仲のいい友達が相談してきたと想像してみてください。
あなたはきっと、「相手にも理由があったんじゃない?」「あなたにもこういう改善点があるかもよ」と、フラットなアドバイスができるはずです。その視点こそが、まさに「客観視」です。
相手の立場を想像することは、決して相手を許して我慢することではありません。「相手にも背景があるかもしれない」と一度考えてみるだけで、怒りの炎は意外なほど小さくなっていくのです。
原因自分論の注意点――間違えると逆に苦しくなる
ここで、ぜひ知っておいてほしい大事な話があります。原因自分論は、使い方を間違えると逆にあなたを苦しめてしまう諸刃の剣でもあるのです。
え、そうなの?自分が原因だって考えるのが正解じゃないの?
ほっほ、よい質問じゃ。実は、ありがちな間違いが2つあるんじゃよ。
間違い1:何でもかんでも「自分が悪い」と思って我慢する
たとえば、明らかにブラックな職場で苦しんでいるとします。そこで「この会社を選んだのは自分。自分に責任がある。だから耐えるしかない」と考えてしまうのは、原因自分論ではなく、ただの自己否定と我慢比べです。
このまま続けてしまうと、心も体も壊れてしまいます。
間違い2:「自分が決めたから」と相手や環境を変えようとする
「自分で選んだ会社だから、なんとかこの会社を良くしよう!」と、上司や組織を変えようと奮闘するのも、実は危険な原因自分論です。
なぜなら、他人や組織は基本的に、自分の力では変えられないからです。変えられないものに必死で力を注げば注ぐほど、徒労感とイライラがたまり、また負のスパイラルに逆戻りしてしまいます。
正しい原因自分論――「変えられるのは自分だけ」
では、正しい原因自分論とはどんな考え方でしょうか。
それは、「過去や他人は変えられない。でも、これからの自分の行動は変えられる」という前提に立つことです。
先ほどのブラック企業の例なら、こんな捉え方になります。
「入社してしまったのは仕方ない。でも、この経験を糧にして、転職や副業に挑戦することはできる。今の自分にできる一歩を踏み出そう」
この考え方なら、視線はちゃんと未来を向いています。痛みを伴う部分はありますが、前に進む力に変わっていきます。
筆者の体験談
少しだけ、私自身の話をさせてください。
数年前、勤めていた会社の業績が急激に落ち込み、早期退職の募集が始まりました。幸い、私自身は対象にはならず会社に残ることができました。ですが、その出来事をきっかけに、はっきりと心が決まったのです。
「会社にしがみつくのは、もうやめよう」と。
それまでの私は、毎月の給料と会社の看板に頼り切っていました。何かあれば「会社が悪い」「上司が悪い」と心の中で愚痴を言って、それで終わり。典型的な原因他人論の住人だったのです。
でも、早期退職の話を間近で見て、「他人任せの人生は怖い」と心底感じました。そこから副業を始め、少しずつ収入の柱を増やしていきました。最初は本当に小さな額です。それでも、自分の力で稼いだ1万円は、給料の10万円よりもずっと自信になりました。
今では、本業以外の収入もあり、昔のような「会社に振り回される不安」はほとんどなくなりました。もちろん楽な道のりではありませんでしたが、あのとき「自分を変えよう」と決めなかったら、きっと今もイライラと愚痴ばかりの毎日だったと思います。
怒りを目標達成のエネルギーに変える方法はこちらの記事でも紹介しているので、あわせてご覧ください。また、「怒る人」と「怒らない人」、どちらが成長しやすいのかを考察した記事もおすすめです。
まとめ――痛みのある選択が、人生をやさしく変えていく
正直なところ、原因自分論を選ぶのは、原因他人論よりも多少なりとも痛みを伴います。「自分にも改善点があったかも」と認めるのは、ちょっぴり悔しいし、勇気もいることだからです。
その点、原因他人論はとっても気が楽です。誰かのせいにしているあいだは、自分は傷つかずにいられます。
でも、原因他人論のままでは、あの負のスパイラルから一生抜け出せません。怒りは増え、人は離れ、状況は悪くなる一方です。
一方で、正しい原因自分論を選んだ人には、ちゃんと未来が開けていきます。なぜなら――他人や過去は変えられないけれど、自分は変えることができるんです。
博士、今日の話、なんか胸にズシンときたよ。「あいつのせい」って言ってるあいだは、ぼく自身は一歩も動いてなかったんだね。
気づけたなら十分じゃよ。最初から完璧にやろうとせんでええ。今日イラッとしたことを1つ、紙に書き出してみることから始めてみんかの。
うん、やってみる!なんだか少しだけ、明日が楽しみになってきたかも。
あなたも、まずは今日感じたモヤモヤを1つ、紙に書き出してみてください。その小さな一歩が、半年後、1年後のあなたを、想像よりずっと遠くへ連れていってくれるはずです。