「怒り」とは、人間にとって非常に基本的な感情の一つです。
この怒りという感情は、何らかの不快やストレスを感じたときに生じることが多く、怒りがあるからこそ自己防衛本能を発揮することができるという重要な役割を持っています。
しかし、怒りが行き過ぎ、制御不能になると、人間関係や仕事などの様々な面で問題を引き起こす原因となってしまうことは簡単に想像できますよね?
本記事では、「怒る」とはどのような感情なのか、その本質や原因、またコントロール方法について解説していきます。
ついつい怒ってしまう人は是非読んでみてください。
怒りの本質とは、自分達に危害が及ぶ可能性から身を守るための自己防衛本能
怒りの本質は自分自身や自分の周りに危害が及ぶ可能性がある状況から身を守るための自己防衛本能です。
え?どういうこと?
簡単に説明するぞい
まず、自分や自分の周りに危害が及びそうな状況になった場合、生物の脳は警報ブザーを鳴らします。
「ヤバいぞ!」「緊急事態発生!!」と。
この脳の警報ブザーのおかげで、生物は脅威に対して行動を取ることができるようになります。
もし、脅威が近づいてきても脳が警報ブザーを鳴らさなかったら???
野生動物であれば、肉食動物のエサになってしまいますし、人間だって、より強い人の餌食にされ、都合よく使われたりしてしまうことでしょう。
なので、警報ブザーが鳴って初めて、生物は次の行動に移れるんです。
では、「次の行動」ってなんでしょう?
自分や周りを守りながら生き残るための行動って、大きく分けて「戦う」か「逃げる」の2択しかありません。
「脅威と戦って打ち勝つ」か「脅威の前から逃げていなくなる」かです。
そして、この「戦う」という選択肢を選ぶために必要なのが怒りの感情というわけなんですね。
怒りの感情って大事じゃろ
でも、そういった脅威ではないことに対しても、怒りの感情って湧き上がってきますよね?
例えば、部下が大きなミスをしたときとか、子どもが言うことを聞かないときとか。
こういうのは脅威ではないはずです。
では、なぜそういうときでも怒りの感情が湧き上がってくるのでしょう?
それは、「ストレス」に対抗するためです。つまり、ストレスが警報ブザーを鳴らす脅威ということ。
例えば、あなたが友人と意見が食い違い、口論になったとします。そのとき、あなたはストレスを感じているはず。
もし、そこで警報ブザーが鳴らなかったら、なにもせず、ただただ友人にボロクソに言われて傷つくだけになってしまいます。
そうならないように、ストレスの原因である友人を論破して排除してやろうと働きかけるのが、「怒り」の感情というわけです。
以上のことから、怒りの本質は、「自分自身や自分の周りに危害が及ぶ可能性がある状況から身を守るための自己防衛本能」だということがわかってもらえたかと思います。
う~ん、わかったような、わからないような…
まあ、身を守るために怒りの感情があるってことだけ覚えとけばいいぞい
怒りの原因とは、相手に勝手に期待して裏切られること
さて、怒りの本質について説明しましたが、今度は怒りの原因について考えていきましょう。
と言っても、怒りを引き起こす原因は、人によって様々です。
また、怒りの許容度も人によって違います。
ある人はよっぽどのことがなければ怒らないのに対し、ある人はちょっと当たっただけで怒鳴り散らしてきたりします。
じゃあ、怒りの原因なんて考えられないじゃないですか
待て!早まるな!
たしかに怒る原因は人によって違います。ですが、一つだけ言えることがあります。
それは、人は「自分の期待していることと反することが起こった場合」に怒りを感じるということです。
人は、考える・考えていないに関わらず、自分以外の人や周囲の環境に期待しているんです。
「考える・考えていないに関わらず」ってわかりにくいですよね。具体的な例を挙げながら説明しましょう。
考える期待とは
まずは、考える期待について。
シチュエーションは恋人と約束をしていたのに、裏切られた場合を考えます。
恋人いない…
なんとかイメージしろ!
今日はあなたは誕生日です。
恋人が誕生日を祝ってくれると言うので、仕事を早めに切り上げて、恋人に会う準備をします。
いつもよりちょっと入念に準備をして、後は約束の時間になるのを待つだけ。
わざわざ祝ってくれると言うぐらいなんだから、プレゼントがもらえるのかななんて期待しちゃいます。
前に欲しいって言ったアレかな?それとも、今、流行りのアレかな?
期待は高まっていくばかり。
ですが、いざフタを開けてみると、コンビニケーキを買ってきて、祝ってくれただけでした。
これ、恋人が祝ってくれたのには違いはないのですが、思っていたのと違って、ちょっと怒りが込み上げてくる人いるんじゃないでしょうか?
この状況を分解していくぞい
このシチュエーションでの期待は、「プレゼントがもらえる」ということですよね。
これがあなたの「考える期待」です。
今回のはあなたの「考える期待」を現実が上回らなかったパターンってことになります。
考えていない期待とは
次に、考えていない期待について。
考えていないなら、期待もしないんじゃ?博士、ボケた?
コイツ…
イメージしてください。
あなたが道を歩いていたら、反対側から歩きスマホをしている人がぶつかってきた上に、舌打ちし、睨みながら去っていきました。
こんなとき、イラッとしますよね?「悪いのお前だろ!」って思いますよね。
でも、道を歩いているときって、別に「誰にもぶつかりませんように」とか、「舌打ちとか睨まれたりしませんように」って考えながら歩いているわけじゃないですか?
そんなことが起こらないことが「普通」なのだから。
つまり、この「普通」ってことがあなたの「考えていない期待」なんです。
ああ、そういうことか
このシチュエーションは、考えていない期待に反したことが現実で起こったパターンとなります。
人間は勝手に期待する生き物
こうやって考えると、人間は自分以外の人や環境に勝手に期待しているってのがわかってもらえるんじゃないかと思います。
そして、その勝手にしていた期待が裏切られることにより、ストレスや不快感を感じて、怒りを引き起こすのです。
そう考えると、人間って結構ヤバいな!!
怒りをコントロールする5つの方法
ここまでで、怒りの本質と原因について書きました。
もう一度書きますが、怒りという感情は、人が生きていく上で無くすことのできないものです。
なので、あなたも生きていく上で、何度も怒りの感情が込み上げてくることでしょう。
それが、軽微な怒りであれば、多少ストレスがあるにしても、人生に大きな影響はないでしょう。
しかし、もし、制御不能な怒りになったとしたら?
暴力や攻撃的な行動を引き起こしてしまった場合なんて、お互いのその後の人生にまで大きな影響を与えかねません。
そのため、怒りを適切にコントロールすることが非常に重要となってきます。
ここでは、怒りのコントロール方法について、いくつかお伝えします。
怒りを感じるのは仕方がないと割り切って、それでも冷静に自分自身をコントロールし、適切な対応を取れるようしていきましょう。
自分を客観的に見る
怒ると頭がカッとなってしまう人に有効なのが、怒った自分を客観的に見ることです。
怒っている最中が望ましいですが、それができるならあまり怒らない人だと思うので、怒り終わったあとでも大丈夫です。
怒っていたときの自分を客観的に見て、どのような「状況や人物、言動、行動」に対して怒りを感じていたのか、また、怒りを感じたときの身体症状(例えば、脈が速くなる、顔が赤くなる、息苦しくなるなど)などを分析します。
できればメモに残した方が良いぞ
そして、何度も分析して、自分はこういうときに怒るんだと認識をするんです。
認識ができていれば、怒りを覚えたときにも、「今自分は怒っているな」と客観視でき、怒りのコントロールにつながります。
相手に勝手な期待をしない
怒る原因のところに書きましたが、自分の期待に反したことが起こった場合に怒りが生まれます。
ということであれば、相手や環境に勝手な期待をしないということも怒りのコントロールに有効な手段になります。
まあ、これはコントロールというより、最初から怒らない方法になるかな
ちなみに、勝手な期待しないメリットは怒りを抑えるだけではありません。
もし、相手が何か良いことをしてくれたときに、期待していなかった分、嬉しさが増します。
サプライズプレゼントと同じってことですね!
- 普段「ありがとう」と言わない上司がありがとうと言ってくれた
- 料理をしない夫が珍しく料理と皿洗いもしてくれた etc.
こういうのって結構嬉しいですよね。
怒りもせず、嬉しさも増すのでオススメです。
深呼吸して、6秒数える
それでも、お怒りイベントが発生することはあります。
そんなときは呼吸です。
実は、人間って息を吸うと緊張し、吐くとリラックスするんです。
ですので、怒りが湧き上がってきたとき、まずは深呼吸(できれば、「吸う」を短く、「吐く」を長く)をしましょう。
そして、深呼吸しながら頭の中で6秒数えてください。
1、2、3、4、5、6・・・
すると、イライラが消えるわけではないですが、冷静な判断ができる状態にまでは落ち着くことができるはずです。
冷静な判断ができる状態になれば、怒りで我を忘れることはないでしょう。
ちなみに、これは「アンガーマネジメント」と呼ばれる怒りをコントロールする方法の内の「6秒ルール」というものになります。
相手から距離を取る
「6秒ルール」で一旦落ち着きを取り戻したとしても、また相手が怒りを煽るような言動をしてきた場合、怒りが再燃しかねません。
相手がそんな好戦的な状況なのであれば、物理的に相手から距離を取りましょう。
逃げるような形になったとしても、その後の人生で後悔するよりはマシです。
もし、相手から離れることができない状況であれば、目をつぶる、イヤホンをする(耳を塞ぐ)等で、視覚、聴覚情報をシャットアウトするという方法もあります。
相手の立場に立って想像してみる
個人的に最強のコントロール方法だと思うのが、「相手の立場に立って想像してみる」です。
あなたが怒るに至った場合、もちろん相手(人や社会、環境)が存在しますよね?
この方法は、その相手がどうしてそのような言動を取ったのかということを、相手の立場に立って想像してみるんです。
このときのポイントはその想像が真実である必要はないということです。
またワケのわからないことを…
例えば、今あなたは高速道路を運転中で、後からものすごく煽られている状況だとします。
もし、あなたが「コイツなんなんだよ!」って思ったらイライラが止まらないでしょう。そして、その状況を抜け出したとしてもイライラは続いているかもしれません。
そこで、相手の立場に立って想像してみます。
う~ん、「母親が危篤状態になったと連絡があり、急いで病院に向かっている最中、前の車がとても遅い!隣の車線も車がゆっくり走ってて追い越せないから、このままでは間に合わない!仕方ない、いけないことだとはわかっているけど、どいてほしいから煽ってどいてもらおう。」とかかな?
こう考えたとき、どうでしょう?
「遅くてごめん!病院に早く行ってあげて!」って思いません?
真実は全く違うでしょうが、そんなことはどうでもいいんです。
自分がイライラから開放されることが大事。
イライラしていることは呪われているのと同じで、非常に疲れます。
自分の都合の良いように解釈して、さっさとイライラを吹き飛ばしましょう。
まとめ
本記事では、怒りの本質、原因、コントロール方法について解説しました。
簡単にまとめると、
【怒りとは】
自分自身や自分の周りに危害が及ぶ可能性がある状況から逃れるための自己防衛本能。
【怒りの原因とは】
勝手に期待したことを裏切られること。
【怒りのコントロール方法は】
・自分を客観的に見る
・相手に勝手な期待をしない
・深呼吸して、6秒数える
・相手から距離を取る
・相手の立場に立って想像してみる
です。
コントロール方法は他にも色々な方法がありますし、「アンガーマネジメント」を学べば、より怒りをコントロールできるようになることでしょう。
冒頭でも述べましたが、怒りは人が生きていく上で必要な感情です。
そして、怒りはエネルギーでもあるため、うまいこと付き合って、活用していけるようになりましょう。