「怒り」とは、人間にとって非常に基本的な感情の一つです。
この怒りという感情は、何らかの不快やストレスを感じたときに生じることが多く、それによって自己防衛本能を発揮することができます。
しかし、怒りが行き過ぎ、制御不能になると、人間関係や仕事などの様々な面で問題を引き起こす原因となってしまうことは簡単に想像できますよね?
本記事では、「怒る」とはどのような感情なのか、その本質や原因、またコントロール方法について考えていきます。
怒りの本質とは、自分達に危害が及ぶ可能性から逃れるための自己防衛本能
怒りは、不快やストレスを感じたときに、その原因を排除するために生じる感情です。
例えば、あなたが友人と意見が食い違い、口論になったとします。
そのとき、ストレスを感じますよね?
そこで、「怒り」が登場しなかったら、ただただ友人にボロクソに言われてお終いです。
(もちろん、怒るのが苦手な人もいますが、その場合、そもそも口論にならないです)
ストレスの原因である友人を論破して排除してやろうというのが、この場合の「怒り」という感情です。
つまり、「怒り」という感情は、生物学的な進化の中で発達した自己防衛本能の一つなのです。
怒りを感じることで、自分自身や自分の周りに危害が及ぶ可能性がある状況から逃れるための自己防衛本能、というわけです。
怒りの原因とは、相手に勝手に期待して裏切られること
怒りを引き起こす原因は、人によって様々です。
また、怒りの許容度も人によって違います。
ある人はよっぽどのことがなければ怒らないのに対し、ある人はちょっと当たっただけで怒鳴り散らしてきたりします。
原因は人によって違うのですが、一つだけ言えることがあります。
それは、人は「自分の期待していることと反することが起こった場合」に怒りを感じるということです。
人は、考える・考えていないに関わらず、自分以外の人や周囲の環境に期待しています。
>考える・考えていないに関わらずってどういうこと?
例を挙げましょう。
考える期待とは
まずは、考える期待について。
シチュエーションは恋人と約束をしていたのに、裏切られた場合を考えます。
今日はあなたは誕生日です。
恋人が誕生日を祝ってくれるというので、仕事を早めに切り上げて、恋人に会う準備をし、後は約束の時間になるのを待つだけ。
誕生日なんだから、プレゼントがもらえるのかななんて期待します。
ですが、いざフタを開けてみると、ケーキを買ってきて、祝ってくれただけでした。
恋人が祝ってくれたのには違いはないのですが、ちょっと怒りが湧いてきます。
このシチュエーションでの期待は、プレゼントがもらえるかなということですよね。
これは「考える期待」です。
そして、現実が考えていた期待を上回らなかったパターンですね。
考えていない期待とは
次に、考えていない期待について。
あなたが道を歩いていたら、反対側から歩きスマホをしている人がぶつかってきた上に、舌打ちし、睨まみながら去っていきました。
こんなとき、イラッとしますよね?
でも、道を歩いているときって、別に「誰にもぶつかりませんように」とか、「舌打ちとか睨まれたりしませんように」って考えないじゃないですか?
それが普通なのだから。
つまり、これは「考えていない期待」なんです。
このシチュエーションは、考えていない期待に反したことが現実で起こったパターンです。
こうやって考えると、人は自分以外の人や環境に勝手に期待しているってのがわかってもらえるんじゃないかと思います。
そして、その期待が裏切られたときに、ストレスや不快感を感じて、怒りを引き起こすのです。
怒りをコントロールする5つの方法
ここまでで、怒りの本質と原因について書きました。
怒りという感情は、人が生きていく上で無くすことのできないものです。
軽微な怒りであれば、多少ストレスがあるにしても、人生に大きな影響はないでしょう。
しかし、もし、制御不能な怒りになったとしたら?
暴力や攻撃的な行動を引き起こすことがあり、お互いのその後の人生にまで大きな影響を与えかねません。
そのため、怒りを適切にコントロールすることが非常に重要となってきます。
怒りを感じるのは仕方がないとして、それでも冷静に自分自身をコントロールし、適切な対応を考えることが必要です。
ここでは、怒りのコントロール方法について解説していきます。
自己認識
怒ると頭がカッとなってしまう人に有効なのが、自分自身を客観的に見つめることです。
自分は、どのような状況や人物、言動、行動に対して怒りを感じるか、また、怒りを感じたときの身体症状(例えば、脈が速くなる、顔が赤くなる、息苦しくなるなど)などを分析します。
これらを分析し、自己認識しておけば、怒りを覚えたときにも、「今自分は怒っているな」と客観視でき、怒りのコントロールにつながります。
相手に勝手な期待をしない
原因のところに書きましたが、自分の期待に反したことが起こった場合に怒りが生まれます。
ということであれば、相手や環境に勝手な期待をしないということも怒りのコントロールに有効な手段になります。
ちなみに、勝手な期待しないメリットは怒りを抑えるだけではありません。
もし、相手が何か良いことをしてくれたときに、期待していなかった分、嬉しさが増します。
普段ありがとうと言わない上司がありがとうと言ってくれた。
料理をしない夫が珍しく料理と皿洗いもしてくれた。
etc.
なんにせよ、相手は変えられません。
変えられるのは自分だけというのを忘れないようにしてください。
深呼吸して、6秒数える
それでも、お怒りイベントが発生することはありますよね。
怒りが湧き上がってきたとき、まずは深呼吸をすることが効果的です。
そして、頭の中で6秒数えてください。
1、2、3、4、5、6・・・
すると、イライラは消えていないかもしれませんが、冷静な判断ができる状態にまでは落ち着くことができます。
これはアンガーマネジメントと呼ばれる怒りをコントロールする方法の内の「6秒ルール」というものです。
相手から距離を取る
「6秒ルール」で一旦落ち着きを取り戻したとしても、また相手が怒りを煽るような言動をしてきた場合、怒りが再燃しかねません。
相手がそんな好戦的な状況なのであれば、相手から距離を取りましょう。
逃げるような形になったとしても、その後の人生で後悔するよりはマシです。
もし、相手から離れることができない状況であれば、目をつぶる、イヤホンをする(耳を塞ぐ)等で、視覚、聴覚情報をシャットアウトするという方法もあります。
相手の立場に立って想像してみる
最強のコントロール方法だと思うのが、相手の立場に立って想像してみるです。
怒る場合、相手(人や社会、環境)が存在しますよね?
どうしてそのような言動を取ったのかということを、相手の立場に立って想像してみるという方法です。
このときのポイントは真実である必要はないということです。
例えば、高速道路で、後からものすごく煽られている状況だとします。
「こいつなんだよ!」って思うとイライラが止まりませんし、その状況を抜け出してもイライラしているかもしれません。
そこで、相手の立場に立って想像してみます。
母親が危篤状態になったと連絡があり、急いで病院に向かっている最中、前の車がとても遅い!
このままでは間に合わなくなってしまうため、いけないことだとは理解しつつ、どいてほしいから煽ってしまった。
こう考えたとき、どうでしょう?
ごめん、病院に早く行ってあげて!って思いません?
真実は全く違うでしょうが、そんなことはどうでもいいんです。
自分がイライラから開放されることが大事。
イライラしていることは呪われているのと同じで、非常に疲れます。
自分の都合の良いように解釈して、さっさとイライラを吹き飛ばしましょう。
まとめ
本記事では、怒りの本質、原因、コントロール方法について解説しました。
簡単にまとめると、
怒りとは、自分自身や自分の周りに危害が及ぶ可能性がある状況から逃れるための自己防衛本能。
怒りの原因とは、勝手に期待したことを裏切られること。
コントロール方法は、
- 自己認識
- 相手に勝手な期待をしない
- 深呼吸して、6秒数える
- 相手から距離を取る
- 相手の立場に立って想像してみる
です。
コントロール方法は他にも色々な方法がありますし、アンガーマネジメントを学べば、より怒りをコントロールできるようになるかと思います。
冒頭でも述べましたが、怒りは人が生きていく上で必要な感情です。
そして、怒りはエネルギーでもあるため、うまいこと付き合って、活用していけるようになりましょう。
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