近年、ストレス社会と言われる中、多くの人々が日常的にストレスを抱えているとされています。
このような状況下で、些細なことでもイライラしやすい人、すぐにキレてしまう人が増えているようです。
では、よく怒る人、つまりキレやすい人にはどのような人が多いのでしょうか?
本記事では、キレやすい人にはどんな人が多いのかについて考えていきます。
キレやすい人=周りにストレスを与える困った人
「キレやすい」とは、人が怒りやすく、感情的になりやすいことを表します。
この状態になる人は、小さなことでもイライラし、すぐに怒鳴ったり、物を投げたりすることがあります。
また、自分が正しいと思っていることに対して他人が異論を唱えると、攻撃的な言動を取ることがあります。
したがって、キレやすい人というのは、周囲の人たちにストレスを与えやすく、そのために仕事や人間関係などの問題が生じやすい、困った人ってことです。
うん、できれば近寄りたくないですよね?
自己効力感が高い人はキレやすい?
「自己効力感」という言葉があります。
この自己効力感とは、自分自身が物事を成し遂げることができるという信念や自信のことを言います。
自己効力感が高い人は、目標に向かって努力する意欲が高まり、困難に遭遇しても諦めずに挑戦し続けることができます。
一方、自己効力感が低い人は、自分自身に自信を持てず、自己肯定感が低くなり、目標に向かって努力することができなくなる傾向があります。
さて、キレやすい人へ話を戻すと、屈強な肉体を持っている人や話術に長けた人などの自己効力感が高く、行動の結果をポジティブに捉えられる人はキレやすいと考えられます。
なぜなら、相手からの反撃を受け付けにくい、または跳ね返しやすいからです。
たとえば、家族や上司、友人といった相手に対して怒りをぶつけたとき、相手を打ち負かして、自分の主張を通すことは難しくないって人であれば、わざわざ機嫌取ったりするよりも、一発ガツンと怒った方が簡単ですよね?
つまり、相手に対して怒る=キレれば、自分の主張を通しやすいという考えに行き着きやすいということになります。
自己愛の強い人もキレやすい?
自己愛というのは、自分自身に対して高い関心を持ち、自己肯定感が強く自分を良く見せようとする性格傾向のことを指します。
このような自己愛が強い人は、自分に対する自信や優越感が強く、自分を愛することに喜びを感じます。
しかし、その一方で、自分を優位に見せたいという欲求が強く、自分の主張が受け入れられなかったり、自分の思い通りにならない状況に遭遇すると、怒りやすくなる傾向があると考えられます。
なぜなら、自己愛が強い人は、自己肯定感が高いが故に、他者からの評価に敏感です。
そのため、自分にとっての「正しい」と思うことが他者から攻撃されたり、批判されたりすると、自分自身を正当化するために怒ることが多くなると考えられるからです。
他者の攻撃的な言動をよく見ている人もキレやすくなる傾向がある
アルバート・バンデューラというカナダ人心理学者がいました。
彼が幼児を対象に行ったモデリング実験というものがあるのですが、この実験により、他者の攻撃的な言動をよく見ている人もキレやすくなる傾向があることが示されています。
実験内容を簡単に説明しておくと、まず複数の幼児を3つのグループに分けます。
1つ目のグループには、ボボ人形(日本でいうところの起き上がりこぼし)に対して攻撃的な言動をする大人の映像を見せました。
2つ目のグループには、ボボ人形に対して攻撃的な様子を全く見せない大人の映像を見せました。
3つ目のグループは、映像を見せませんでした。
さて、その後、それぞれのグループをボボ人形のある部屋に入れたときに、どうなったか?
ボボ人形に対する攻撃的な言動を取るのが、2つ目、3つ目のグループよりも、1つ目のグループがはるかに多かったとのことです。
これは、自己効力感が高まったのではないかと考えられます。
つまり、1つ目の幼児たちは「人形は起き上がるだけで反撃をしてこない」=「攻撃的な言動をとっても大丈夫」という結果を予想したのではないかと。
なので、もし、攻撃的な言動を人形にした後に、人形から反撃を受けるような映像を見ていたら、違う結果になると思われます。
まとめ
今回の記事では、怒りやすい=キレやすい人について考えました。
キレやすい人は、
- 自己効力感が高い人
- 自己愛が強い人
- 他者の攻撃的な言動をよく見ている人
に多いと考えられます。
もちろん、このような人たちが全員キレやすいというわけではないと思いますが、キレやすい傾向にあると考えられます。
怒ること自体は、人間の感情の一つであり、適度な範囲であれば問題ありません。
しかし、怒る頻度が多い人には、一定の距離を取ることがお互いのためかもしれませんね。