よく、年を取ると丸くなるなんて言われます。
「あの人、昨は尖ってたけど、年を取って丸くなったよね」とかですね。
でも、脳科学的に見ると、必ずしもそうとは言い切れない面があるんです。
今回は脳科学的メカニズムに基づいて、怒りを解剤していきましょう。
「年を取ると丸くなる」って言葉、よく聞きますよね。でも本当なんですか?
脳科学的には「必ずしもそうではない」と言えるが、面白いメカニズムがあるので順を追って説明するぞい。
怒りを生み出すのは脳の扁桃体
この記事でも書きましたが、怒りとは自分自身や自分の周りに危害が及ぶ可能性がある状況から身を守るための自己防衛本能です。

では、その怒りの感情はどこで生み出されるのでしょうか?
答えは脳にある扁桃体という部分です。
扁桃体は脳の側頭葉の内側、海馬のやや内前方に左右対称に位置しており、15〜20mm程度だそうです。
ちなみに、ナッツ類のアーモンドに似た形をしており、 アーモンドを「扁桃」と言うため、扁桃体と名付けられたそうですよ。
この扁桃体は、情動反応の処理や直観力、ストレス反応に重要な役割を果たしていて、主に、不安や怒り、緊張、嫌悪感、不快、恐怖などのネガティブな感情に関わっています。
見たり聞いたりして扁桃体が情報を受け取った時、その情報の内容より、それが自身の命に関わるものであるかを一瞬で評価してくれる警報ブザーの役割をしてくれています。
ストレスを受けるとネガティブ感情の情動反応により、扁桃体が山激、興奮します。その結果、怒りの感情が出てくるということです。
扁桃体の暴走を抑えるのが前頭葉
怒りの感情を生み出すのは扁桃体と説明しました。
扁桃体が大興奮をして暴走状態になっていると、我を忘れるくらい怒ったり、怒りに任せて暴力を振るったり、ケンカをしていることでしょう。でも、いつもそんな風にはならないですよね?
それは前頭葉が扁桃体の暴走を抑えてくれるからです。
前頭葉は、大脳の前部分に位置しており、人間の意思や行動を司る器官です。前頭葉のおかげで、人間的な高次元な機能(理性、分別、認知、思考、意欲、判断等)がコントロールできます。
なので、扁桃体が暴走しそうになった時、我慢して事を荒立てずに済ませることができるのは、前頭葉が理性的で分別のある判断を行い、コントロールしてくれてるからなのです。
もし、前頭葉がなかったら、混沌とした怒りと暴力の世界になっていたわけですね。前頭葉、ありがとう!!
【扁桃体 VS 前頭葉】怒るかどうかは一本勝負
怒りの感情を生み出す扁桃体と怒りの感情を抑える前頭葉。
怒るか怒らないかは、扁桃体と前頭葉のどちらが勝つかということになります。
受けるストレスの大きさによって、扁桃体の山激・興奮は大きくなるのですが、それよりも前頭葉の方が強ければ、多少のイライラはするかもしれませんが、怒りをコントロールできるというわけです。
イライラを解放する方法についても参考にしてみてください。
ですので、怒りをコントロールするためには前頭葉の機能を衰えさせないようにし、理性的で分別のある判断を下せるようにしていく必要があるのです。
なるほど、怒るかどうかは「扁桃体」と「前頭葉」の引っ張り合いなんですね。前頭葉が健康なわけか。
そうじゃ。前頭葉が健康であればあるほど、怒りを上手にコントロールできるんじゃよ。
「年を取ると丸くなる」は必ずしも正しくない
さて、この記事のタイトルにも書いた、なぜ「年を取ると丸くなるが必ずしも正しくないか」という本題にやっと入れます。
前頭葉の機能という観点では、高齢になるにつれ前頭葉の機能が低下しやすく、怒りっぽくなる傾向があると言われています。
残念なことに、人の脳は年齢を重ねるごとに萎縮していきます。しかも、前頭葉部分が一番早く萎縮し始めると言われています。
怒りをコントロールするためには前頭葉の機能が大切なのに、高齢になるにつれて前頭葉が萎縮しやすくなるとは、扁桃体と前頭葉の勝負でも前頭葉が負けることが増える可能性が高まります。
そしてその結果、扁桃体の暴走を抑えられず、ちょっとしたことでも怒りの感情が出てきやすくなる可能性があるというわけです。
ただし、これとは逆の側面もあります。南カリフォルニア大学をはじめとする複数の研究では、高齢者の方がネガティブな山激への扁桃体の反応が弱まりやすいというデータが報告されています。ネガティブな出来事を前向きに受け流しやすくなることが、「丸くなった」と感じられる一因かもしれません。
つまり、高齢になると「怒りっぽくなる方向(先錈化)」に進む人もいれば、「魂が丸くなる方向(円熟化)」に進む人もいる。どちらの方向に進むかは、脳の加齢変化だけでなく、生活習慣・社会的なつながり・心理的な回復力なども大きく関係するとされています。
前頭葉の機能を少しでも長く維持するために
では、仕方ないと諸めるしかないのでしょうか?
いやいや、諸めるのはまだ早い。年齢を重ねると発達させていくことは難しいですが、使い方などによって衰えを遅らせることはできます。
大事なのは「日頃から脳をよく使う」こと。
上にも書きましたが、前頭葉は人間の意思や行動を司る器官であるため、試行錯誤しながら、自分の意思で行動していくことにより、山激を与えることができます。例えば、新しいチャレンジをしてみるとか、多くの人と交流するなどですね。
あとはゲーム。ゲームはクリアを目指す上で試行錯誤しながら自分の意思で行動するという、前頭葉の訓練になると考えられています。
この動画を見てください。なんとこの方、90歳超えの現役ゲーマーだそうで、バイオハザードとかスプラトゥーンとかやられています。
この方の場合はゲーム歴40年以上ということなので、ここまで上手なのですが、90歳を超えてもしっかりされていますよね。早くやり始めればそれだけ効果はあります。
あと、脳をよく使うことに加えて「食事」「運動」「睡眠」も大事です。
- 質の良い「食事」により、脳の維持に必要な栄養素をきちんと摄取する。
- 適度な「運動」により、脳への血流を増加させて、酸素と必要な栄養素を脳に送り込む。
- 十分な「睡眠」により、ダメージを受けた脳を修復する。
いわゆる、規則正しい生活ですね。
こういった生活を続けていくと、前頭葉の機能を少しでも長く維持することができるでしょう。
脳を使う習慣と規則正しい生活で、前頭葉を守れるんですね。なんか希望が持てました。
何歳からでも遅くないぞい。日々の積み重ねが、怒りとうまく付き合える脳をつくっていくぞい。
まとめ
この記事では、怒りの脳科学的メカニズムについて解説しました。
簡単にまとめておくと、
- 怒りは自分自身や自分の周りに危害が及ぶ可能性がある状況から身を守るための自己防衛本能
- 怒りの感情を生み出すのは扁桃体
- 扁桃体の暴走を抑えるのは前頭葉
- 扁桃体と前頭葉の勝負により、怒るか怒らないかが決まる
- 歳を重ねると前頭葉の機能が衰えやすくなり、怒りっぽくなる傾向がある(ただし個人差大)
- 使い方や生活の仕方によって、前頭葉の機能を少しでも長く維持することができる
です。
じゃあ、みんながみんな、年を取ると怒りやすくなるのか?というと、もちろん、違いますよね。長く生きると色々な経験や考えに觸れて、若い頃よりもストレスへの許容度が大きくなっている人だっているはずです。
あくまで、脳科学的メカニズムという観点で見れば、怒りっぽくなりがちな傾向があるということです。生活習慣や社会的なつながりによって、須らくそうならない人もたくさんいます。
怒りの感情は生きていく上で必要不可欠なものですが、怒ってばかりの人生は自身の心身にも、人間関係にも良いものではありません。
適切なときに怒り、そうでないときは心安らかに暮らせるといいですよね。
怒りの脳科学的メカニズムを知っているだけでも、知らないよりは全然違うと思いますので、この記事が少しでも参考になれば嬉しいです。
